明らかな異常が見られないのに舌がピリピリとして痛い。それはもしかしたら舌痛症(ぜっつうしょう)という病気かもしれません。舌痛症は、40代以降の女性が発症しやすい病気ですが、誰にでも起こり得る症状ともいえます。今回はそんな舌がピリピリ・ヒリヒリと痛む舌痛症の原因や症状、対処法などを詳しく解説します。
◎舌痛症とは
舌痛症とは、その名の通り舌に痛みを感じる病気です。その感じ方は、ピリピリ・ヒリヒリ・ザラザラなど、人によって異なります。眠っている時や会話をている時、食事の時に痛みが軽減するなど、一般的な病気とは症状の現れ方が違うため、戸惑う人も多いことでしょう。
◎舌痛症の原因
現状、舌痛症の原因は解明されていません。重度のストレスやホルモン異常が原因ではないかと考えられたり、神経痛の一種として捉えられたりしています。逆にいうと、原因が明確な舌の痛みは、別の病気と診断されます。具体的に舌痛症は、以下に挙げる病気・異常との鑑別が必要となります。
アフタ性口内炎、難治性の潰瘍(かいよう)、口腔カンジダ症、口腔乾燥症、平滑舌(へいかつぜつ)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、三叉神経痛(さんさしんけいつう)、舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)
こうした病気・異常にも舌がピリピリとする症状を伴うことがありますが、それぞれ原因は解明されており、治療法も確立されています。上記のいずれにも当てはまらないケースを臨床では、舌痛症と診断する場合が多いです。
◎舌痛症の治療法
舌痛症の治療は、基本的に対症療法となります。病気が発症する根本的な原因がわかっていないので、症状をやわらげる方法を採っていくしかないのです。不安やうつに関連して舌の痛みが生じている場合は、抗うつ薬を投与します。実は、舌痛症では抗うつ薬による薬物療法で症状の改善が認められるケースが多いのです。亜鉛の摂取量が不足している場合は、サプリメントなどで補います。亜鉛は、舌痛症に伴う味覚異常の改善に寄与します。舌痛症には、口腔乾燥が見られることも多いため、唾液の分泌を促進することも大切です。唾液腺マッサージを行ったり、水分補給をこまめに行ったりすることで、口腔乾燥を防ぎます。
その他、十分な睡眠をとることやストレスを解消することでも、舌痛症の症状を緩和することが可能となります。ただ、繰り返しになりますが、これらはあくまで対症療法となるため、患者さんによって効くもの効かないものが出てきます。そこは主治医と相談しながら、調整していくことが大切です。
◎まとめ
今回は、舌にピリピリとした痛みや違和感が生じる舌痛症について解説しました。舌のピリピリピリとした痛みは、入れ歯や矯正治療による刺激が原因だったり、口内炎や口腔カンジダ症のひとつの症状として現れたりすることがあります。そうした明らかな原因が見当たらない場合は、舌痛症が疑われます。ですから、舌のピリピリとした痛みが気になったら、まずは歯医者さんに相談すると良いでしょう。歯科的に何ら異常が見られない場合は、内科での診察が必要となります。