皆さんは、虫歯でもないのに歯が痛む経験をしたことはありませんか?その痛み、実は「ストレス」が関係しているかもしれません。今回は、ストレスと歯の痛みの関係について、わかりやすく解説します。
ストレスで歯が痛くなる原因とメカニズム
ストレスは、次に挙げる原因によって歯の痛みを引き起こすことがあります。
● 歯ぎしり・食いしばりによる負担
ストレスを感じると無意識のうちに「歯ぎしり」や「食いしばり」が起こることがあります。これらの癖は、歯に強い力が加わることで歯根や歯の周囲組織にダメージを与え、痛みとして現れる原因となります。特に夜間の歯ぎしりは気づきにくく、朝起きたときに歯や顎に痛みや違和感を覚える方が多く見られます。
● 顎関節への負担による放散痛
食いしばりが強くなると、顎関節(がくかんせつ)や咀嚼筋に過度な負担がかかり、こめかみや耳の前、さらに歯にまで痛みが放散することがあります。これを「放散痛」といい、実際には歯が原因ではないのに歯が痛いと感じるケースがあります。
● 自律神経の乱れによる痛みの知覚異常
ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、痛みの感じ方にも影響が出ます。たとえば、軽い刺激でも強く痛む「知覚過敏」や、特定の歯にだけ原因不明の痛みを感じる「非定型歯痛(ひていけいしつう)」などが代表的です。これらの痛みは、レントゲンなどの検査でも異常が見つからないことが多く、患者さんを悩ませる要因となります。
●ストレスで虫歯の痛みが強くなる?
ストレスは、虫歯による痛みの感じ方にも影響を与えます。強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、痛みに対する感受性が高まります。その結果、軽度の虫歯であっても通常より強く痛みを感じやすくなるのです。また、免疫力の低下によって炎症が広がりやすくなり、歯茎の腫れや神経の過敏化が進行することもあります。こうした状態が重なることで、痛みが増幅しやすくなるため注意が必要です。
こんな痛みは歯科を受診
次に挙げるような痛みがある場合は、早期に歯科を受診しましょう。
● 歯の痛みの原因がはっきりしない場合
歯の痛みがあるのに虫歯や歯周病が見つからない場合は、ストレス由来の痛みの可能性があります。特に日常的にストレスを感じていたり、精神的な負担が多かったりする方は、心身のバランスが痛みに関係しているかもしれません。このような場合も、まずは歯科医院で専門的な診察を受けることが大切です。
● 歯や顎に強い痛みが続く場合
食いしばりや歯ぎしりによって起きる歯の痛みも、放っておくと歯根膜炎や顎関節症などを引き起こすことがあります。痛みが続いたり、顎が開きにくくなったりする場合は、早めに歯科医院での診察をおすすめします。
● お子さんの歯ぎしりにも注意
子供の場合でもストレスが原因で歯ぎしりをすることがあります。保育園や学校生活での緊張、不安などが影響している可能性も。歯のすり減りや噛み合わせへの悪影響を避けるためにも、気になる症状があればご相談ください。
まとめ
ストレスと歯の痛みは、一見無関係に思えるかもしれませんが、実は深く関係しています。歯ぎしりや食いしばり、知覚過敏、非定型歯痛など、さまざまな形で症状が現れるため、原因がわからないまま放置してしまうと悪化する可能性もあります。気になる痛みがあれば、まずは歯科医院にご相談ください。適切な診断と対処により、歯だけでなく心身の健康維持にもつながります。
