赤ちゃんの乳房への吸いつきが浅い。哺乳量が少なく、体重がなかなか増えない。そうした症状が認められる場合は「舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)」が疑われます。舌の裏側にある舌小帯という紐のような軟組織が歯茎の方にまで伸びているため、舌の動きを制限してしまう病気です。今回はそんな舌小帯短縮症について詳しく解説します。
舌小帯短縮症の症状
舌小帯短縮症では、上述した症状に加えて、哺乳に時間がかかる頻回授乳、眠り飲み、舌がハート形になる、舌足らずなどが認められます。舌は咀嚼・嚥下・発音・呼吸という社会活動を維持する上で欠かすことのできない機能と関連が深いため、そこに異常があるとさまざまな症状を引き起こしてしまうのです。
舌小帯短縮症の治療法
舌小帯短縮症では、経過を見て改善が見込めない場合は外科手術を行います。歯茎の方まで伸びている舌小帯を外科的に切除する手術で、1歳未満と1歳以上では手順が変わります。
◎1歳未満のお子さん
1歳未満の場合は、日帰り入院で手術を行うのが一般的です。舌小帯に表面麻酔を作用させた上で切開します。手術には出血を伴いますが縫合はせず、ガーゼで圧迫して止血します。出血が止まらない、あるいはアナフィラキシーショックを起こしている、といったトラブルが見られない場合はそのまま帰宅できます。
◎1歳以上のお子さん
1歳以上の場合は、全身麻酔下での手術となります。そのため2泊3日程度の入院が必要となるでしょう。舌小帯を切開した後は、傷口を縫合します。発音障害が認められる場合は、言語聴覚士によるリハビリテーションが必要となります。もちろん、1歳以上でも日帰り入院で対応できるケースはあります。
術後のケアの重要性
舌小帯短縮症の手術後は、適切なケアを行うことで舌小帯の再癒着を防止できます。具体的には、舌のストレッチを4週間程度、継続します。その間、癒着が起こった場合は、指で剥離するなどの処置が必要となります。そのため舌小帯短縮症の手術後は定期的に通院する必要があります。1ヵ月経過して傷が治癒し、舌小帯短縮症の症状が改善されていれば治療は終了となります。
まとめ
今回は、舌小帯短縮症について解説しました。舌の裏側にある紐状の軟組織が歯茎まで伸びることで、咀嚼・嚥下・発音・呼吸機能に悪影響を及ぼす病気です。重症度は個々のケースで異なるため、必ずしも治療が必要になるわけではありませんので、お子さんに舌小帯短縮症の症状が認められた場合は、まず専門の医療機関に相談すると良いでしょう。