サイレントキラーとも呼ばれる歯周病。痛みを感じることがほとんどないため、日常生活に支障をきたすことがなく、歯科を受診する必要性を感じにくい点がこの病気の厄介なところです。今回はそんな歯周病がサイレントキラーと呼ばれるゆえんや痛みがないからこそ怖い理由、早期に発見するための方法を解説します。
歯周病で痛みが出るのはいつから?
歯周病は、細菌感染によって歯茎に炎症反応が生じる病気です。軽度の歯周病でも歯茎が腫れたり、歯茎から出血したりする症状は認められますが、痛いと感じることはまずありません。中等度の歯周病になると、歯茎や顎の骨の吸収が進んでいきますが、この段階でも痛みはないため「自然に治るのを待とう」「痛みが出てから歯医者に行こう」と考える方が多くを占めています。そうして歯周病が進行し、重度にまで至ると、食べ物を噛んだ時に痛いと感じるようになります。これは歯茎に膿の塊ができるほど細菌が異常繁殖していることに加え、顎の骨がボロボロになっているからです。
痛みが出てから治療を受けても手遅れ?
上述したプロセスを経て、痛みが出てきた歯周病は、完治させることが難しくなります。数ヵ月の治療期間をかけて、さまざまな処置を施すことで、歯周病による病状を安定化させることはできますが、破壊された歯茎や顎の骨を元に戻すことはできません。それどころか末期の歯周病では多くのケースで抜歯が第一選択になりやすいことを知っておきましょう。歯周病で歯を抜いてもインプラントがあるじゃないかと思われるかもしれませんが、歯茎や歯槽骨がボロボロだと、入れ歯しか適応できない可能性も否定できないのです。また、インプラント治療が適応できたとしても、数ヵ月にわたる治療期間と高額な費用がかかることから、歯周病そのものの治療を頑張った方が患者さんのメリットも大きくなります。

歯周病を早期に発見する方法
サイレントキラーと呼ばれる歯周病も歯科医師なら早期に発見できます。一般的な歯周病は、比較的ゆっくりと進んで行く病気なので、1〜2ヵ月に1回の頻度で定期検診・メンテナンスを受けていれば、早期の段階で発見し、対処することも難しくなくなります。具体的には、細菌による炎症反応が歯茎だけにとどまっている「歯肉炎」の状態で発見できることから、歯周病治療によって元通りに戻すこともできます。
まとめ
今回は、サイレントキラーと呼ばれる歯周病について、痛みが出にくい理由やその危険性を解説しました。歯周病においては、痛みがない=軽症とはなりませんので、歯茎の腫れや出血を自覚した時点で歯科を受診するようにしてください。歯周病を早期発見あるいは予防したい場合は、1〜2ヵ月に1回の歯科検診を定期的に受けるのがおすすめです。