歯周病やむし歯のなりやすさは、口内環境を観察するだけでもある程度は評価することができます。歯垢・歯石が堆積していたり、歯並びに大きな乱れがあったりすると、口腔疾患のリスクは大きく上昇するものです。そうした口腔内診査と併せて、唾液検査まで行うことで、歯周病やむし歯のなりやすさをより厳密に調べられることをご存知ですか?今回はそんなお口の病気のリスクを評価するための唾液検査について解説します。
目次
▽唾液検査とは?
唾液検査とは、患者さんの唾液を少量、採取して、その成分を専用の機器で調べるものです。唾液の採取はとても簡便な方法で行えますし、検査機器にかけてから結果が出るまでは5分程度しかかからないことから、誰でも気軽に受けられます。もちろん、唾液検査はどの歯科医院でも行っているものではないため、まずは対応している歯科医院を探す必要があります。
▼唾液検査でわかること
唾液検査では、歯の健康に関することと歯茎の健康に関することがわかります。
【歯の健康に関すること】
◎虫歯菌の量
虫歯の原因菌がどのくらい唾液に含まれているかがわかります。虫歯菌の量が多いほど、虫歯リスクも高まります。
◎唾液の酸性度
お口の中のpHは、酸性に傾くほど虫歯リスクが高まります。私たちの歯は、酸性刺激によって溶けやすいからです。
◎唾液の緩衝能(かんしょうのう)
緩衝能とは、唾液が酸性に傾いた時に中性へと戻す力です。この能力が高いほど、虫歯リスクも低くなります。
【歯茎の健康に関すること】
◎白血球の数
歯と歯茎の境目に歯周病菌などの病原体が定着していると、生体防御のメカニズムから白血球の数が増えます。そのため白血球の数が多い場合は、歯周病にかかっているか、そのリスクが増加していることを意味します。
◎タンパク質の量
口腔内の細菌が繁殖したり、その活動が活発化したりすると、唾液中のタンパク質の量が多くなります。歯周病で歯茎が破壊されることでも、タンパク質の量は増加します。
◎アンモニアの量
お口の中が不潔だと、唾液中のアンモニアの量が増加します。その結果、口臭が強くなるなどの症状が現れます。これは歯茎の健康ではなく、口腔衛生状態を評価する指標となります。
▼まとめ
今回は、虫歯や歯周病のリスクをチェックできる唾液検査について解説しました。とても簡便な方法であなたの唾液の成分を詳しく調べられますので、関心のある方は一度、受けてみてください。自分の唾液の性質がわかれば、虫歯や歯周病、口臭などをより効率良く予防できるようになります。