歯周病を悪化させるPg菌について

細菌感染症である歯周病には、いくつかの原因菌が存在しています。代表的な歯周病菌としてはPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)、Td菌(トレポネーマ・デンティコラ)、Tf菌(タンネレラ・フォーサイシア)の3種類が挙げられ、専門的にはこの3つを「レッドコンプレックス」と呼んでいます。その中でも特に注意が必要なのがPg菌です。Pg菌は、病原性が極めて高い細菌で、歯周病を悪化させる原因にもなります。今回はそんなPg菌の特徴や効率的に除去する方法などを詳しく解説します。

Pg菌の病原性が強い理由

歯垢や歯石の沈着がなく、歯周ポケットも浅い人は、歯周病になりにくいです。なぜなら表面がツルツルの場所に細菌は定着しにくいからです。そこでポイントとなるのが「線毛(せんもう)」と呼ばれる歯周病菌の体の構造です。線毛に付随するヒダのような器官で、宿主の組織に定着する際に役立ちます。

Pg菌は、線毛が発達した細菌で、足場となる汚れがあれば容易に定着します。実際、健康な歯茎の細胞と比較して、歯周病の歯茎の細胞からは、Pg菌が200倍程度検出されることが報告されています。この値はTd菌の2倍以上に達します。つまり、Pg菌は歯周病を発症するきっかけを与えると同時に、いつまでもそこに居座って繁殖し、歯茎の腫れや出血、歯茎の破壊などの症状を悪化させてしまうのです。その結果、歯周ポケットが深くなり、Td菌やTf菌も活動しやすくなります。

Pg菌を減らす方法

上述したように、Pg菌は線毛を使って歯面に定着するため、足場となる歯垢や歯石を取り除くことが何より重要となります。すべての歯周病患者さんが受ける歯周基本治療では、プラークコントロールを主な目的としていますが、これが正にPg菌を始めとした歯周病菌の足場を奪うことに直結するのです。歯垢はクリーニングで、歯石はスケーリングで取り除き、正しいセルフケア方法はブラッシング指導で学んでいただきます。歯垢がたまらない口内環境を築くことができれば、歯石も形成されませんし、歯の表面がザラザラになることもありません。そうしてPg菌の足場・住処を奪っていくことが、歯周病の完治へとつながっていくのです。

まとめ

今回は、歯周病を悪化させるPg菌について解説しました。Pg菌は、歯周病を発症させる原因菌のひとつで、線毛を有していることから、レッドコンプレックスの中でも病原性が高い菌種といえます。そんなPg菌は、歯科医院でのクリーニングやスケーリング、自宅でのプラークコントロールを徹底することで、病原性を発揮できない程度まで減らせます。皆さんもこれからは“歯周病菌の数を減らす”という意識を持って歯磨きに取り組むと、セルフケアへのモチベーションも高まることでしょう。歯垢や歯石をためないことが歯周病を改善、予防する上での近道なのです。

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